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明治元訳「舊約聖書」(1953年版) 大正改訳「新約聖書
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Mark 12
12 / 16
1
イエス譬をもて彼らに語り出で給ふ『ある人、葡萄園を造り、籬を環らし、酒槽の穴を掘り、櫓をたて、農夫どもに貸して、遠く旅立せり。
2
時いたりて農夫より葡萄園の所得を受取らんとて、僕をその許に遣ししに、
3
彼ら之を執へて打ちたたき、空手にて歸らしめたり。
4
又ほかの僕を遣ししに、その首に傷つけ、かつ辱しめたり。
5
また他の者を遣ししに、之を殺したり。又ほかの多くの僕をも、或は打ち或は殺したり。
6
なほ一人あり、即ち其の愛しむ子なり「わが子は敬ふならん」と言ひて、最後に之を遣ししに、
7
かの農夫ども互に言ふ「これは世嗣なり、いざ之を殺さん、さらばその嗣業は、我らのものとなるべし」
8
乃ち執へて之を殺し、葡萄園の外に投げ棄てたり。
9
さらば葡萄園の主、なにを爲さんか、來りて農夫どもを亡し、葡萄園を他の者どもに與ふべし。
10
汝ら聖書に「造家者らの棄てたる石は、これぞ隅の首石となれる。
11
これ主によりて成れるにて、我らの目には奇しきなり」とある句をすら讀まぬか』
12
ここに彼 等イエスを執へんと思ひたれど、群衆を恐れたり、この譬の己らを指して言ひ給へるを悟りしに因る。遂にイエスを離れて去り往けり。
13
かくて彼らイエスの言尾をとらへて陷入れん爲に、パリサイ人とヘロデ黨との中より、數人を御許に遣す。
14
その者ども來りて言ふ『師よ、我らは知る、汝は眞にして、誰をも憚りたまふ事なし、人の外貌を見ず、眞をもて神の道を教へ給へばなり。我ら貢をカイザルに納むるは、宜きか、惡しきか、納めんか、納めざらんか』
15
イエス其の詐僞なるを知りて『なんぞ我を試むるか、デナリを持ち來りて我に見せよ』と言ひ給へば、
16
彼ら持ち來る。イエス言ひ給ふ『これは誰の像、たれの號なるか』『カイザルのなり』と答ふ。
17
イエス言ひ給ふ『カイザルの物はカイザルに、神の物は神に納めよ』彼らイエスに就きて甚だ怪しめり。
18
また復活なしと云ふサドカイ人ら、イエスに來り問ひて言ふ
19
『師よ、モーセは、人の兄弟もし子なく妻を遺して死なば、その兄弟かれの妻を娶りて、兄弟のため嗣子を擧ぐべしと、我らに書き遺したり。
20
ここに七人の兄弟ありて、兄 妻を娶り、嗣子なくして死に、
21
第二の者その女を娶り、また嗣子なくして死に、第三の者もまた然なし、
22
七人とも嗣子なくして死に、終には其の女も死にたり。
23
復活のとき彼らみな甦へらんに、この女は誰の妻たるべきか、七人これを妻としたればなり』
24
イエス言ひ給ふ『なんぢらの誤れるは、聖書をも神の能力をも知らぬ故ならずや。
25
人、死人の中より甦へる時は、娶らず、嫁がず、天に在る御使たちの如くなるなり。
26
死にたる者の甦へる事に就きては、モーセの書の中なる柴の條に、神モーセに「われはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神なり」と告げ給ひし事あるを、未だ讀まぬか。
27
神は死にたる者の神にあらず、生ける者の神なり。なんぢら大に誤れり』
28
學者の一人、かれらの論じをるを聞き、イエスの善く答へ給へるを知り、進み出でて問ふ『すべての誡命のうち、何か第一なる』
29
イエス答へたまふ『第一は是なり「イスラエルよ聽け、主なる我らの神は唯一の主なり。
30
なんぢ心を盡し、精神を盡し、思を盡し、力を盡して、主なる汝の神を愛すべし」
31
第二は是なり「おのれの如く汝の隣を愛すべし」此の二つより大なる誡命はなし』
32
學者いふ『善きかな師よ「神は唯一にして他に神なし」と言ひ給へるは眞なり。
33
「こころを盡し、知慧を盡し、力を盡して神を愛し、また己のごとく隣を愛する」は、もろもろの燔祭および犧牲に勝るなり』
34
イエスその聰く答へしを見て言ひ給ふ『なんぢ神の國に遠からず』此の後たれも敢へてイエスに問ふ者なかりき。
35
イエス宮にて教ふるとき、答へて言ひ給ふ『なにゆゑ學者らはキリストをダビデの子と言ふか。
36
ダビデ聖 靈に感じて自らいへり「主わが主に言ひ給ふ、我なんぢの敵を汝の足の下に置くまでは、我が右に坐せよ」と。
37
ダビデ自ら彼を主と言ふ、されば爭でその子ならんや』大なる群衆は喜びてイエスに聽きたり。
38
イエスその教のうちに言ひたまふ『學者らに心せよ、彼らは長き衣を著て歩むこと、市場にての敬禮、
39
會堂の上座、饗宴の上席を好み、
40
また寡婦らの家を呑み、外見をつくりて長き祈をなす。その受くる審判は更に嚴しからん』
41
イエス賽錢函に對ひて坐し、群衆の錢を賽錢函に投げ入るるを見 給ふ。富める多くの者は、多く投げ入れしが、
42
一人の貧しき寡婦きたりて、レプタ二つを投げ入れたり、即ち五 厘ほどなり。
43
イエス弟子たちを呼び寄せて言ひ給ふ『まことに汝らに告ぐ、この貧しき寡婦は、賽錢函に投げ入るる凡ての人よりも多く投げ入れたり。
44
凡ての者は、その豐なる内よりなげ入れ、この寡婦は其の乏しき中より、凡ての所有、即ち己が生命の料をことごとく投げ入れたればなり』
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